Nature & Creativity
自然と創造性の旅 マカオの歴史が生んだ生活の一部を垣間見る


p03_01スタート地点となる観音堂の近く、赤いレンガが特徴の市場、紅街市。朝から買い物にやってくる、たくさんの市民で活気に満ちあふれている。まずは市場の前にある飲茶レストラン龍華茶樓(ロンワァチャァラウ)へ。天井にファンが回るレトロな空間だ。

中国語が飛び交う中で点心をいただき地元気分を満喫したら、媽閣廟、蓮峰廟と並んでマカオ三大古刹のひとつである観音堂へ。堂内には、四天王、韋駄天、観音菩薩、十八羅漢にマルコポーロ像まである。大晦日になると、媽閣廟とこの観音堂が多くの参拝客であふれるのだとか。一見、仏教寺院に見えるが、偏殿には道教の神である関帝像なども祀られている。仏教と道教が混在しているのも、マカオ独特の文化だ。

正門から入ると最初にある建物が大雄賓殿。扉は美しい貝殻でデザインされている。これは外光を取り込むために牡蠣の貝殻で作られた疑似ガラス。現在は貝殻製の方が希少となったが、当時はガラスが貴重品だったため、このように工夫されていたようだ。
奥にある長寿佛殿には、健康長寿と男の子が授かりたい女性が参拝に来るほか、ユニークな願掛けの木もある。その名も「浮気封じの木」。昔はこの木に、漁へと出かける夫を見送った妻たちが、夫の下着の腰ひもを結んで願掛けをしたとか。家を空けることが多かった、漁業社会ならではの歴史が感じられる。

ここからは貯水池やギアの丘を通って、美しい蓮の名所ともなっているロウリムイオック庭園へ。1870年まで農地だった場所に造園されたロウリムイオック庭園は、14世紀の蘇州庭園をイメージした造りになっている。蓮池の畔に立つ東屋では、地元の人々が広東オペラの練習に勤しんでいたり、太極拳をしていたりと、ほのぼのとしたムードだ。
奥には、中国様式とビクトリア様式が融合した建物、春草堂。庭園を造ったマカオの豪商、盧(ロウ)氏が客人を迎えるために建て、孫文も訪れたことがあるとか。
そこから池に向かって歩くと、ゴツゴツとした太湖石がそこここに。犬や虎に見える石、仏様に見える石など、想像を膨らませながら見るのも楽しい。

ゴールは庭園から約10分の聖ラザロ教会。周辺一帯はラザロ地区と呼ばれ、かつて多くの中国人カトリック教徒が住んでいたエリア。
ポルトガル統治時代、マカオの行政地区は教会ごとの教区で区切られており、この地区は、中国人をはじめとする外国人の改宗者の居住地区に指定されていた。その中国人信者のために建てられたのが、中国とポルトガルそれぞれの建築様式を融合させた家屋だ。外観はコロニアル風、内側は中国人が馴染みやすいような装飾や構造になっている。こうして現在の南欧風の建物や石畳ができ上がったようだ。
周辺には個性豊かなギャラリーやブティック、公立音楽学校などが集まり、アーティスティックな雰囲気も漂う、マカオでもっともポルトガルらしい街並みのひとつ。おしゃれなポルトガル輸入雑貨店もあり、素敵なお土産も見つけられそうだ。

左:ラザロ地区。この一画にある聖ラザロ教会は、マカオで最初のカテドラルとして司教座が置かれ、中国人司教を多く輩出、中国人への布教の中心地区となった 右:紅街市。壁が赤いため、この名がついた。20世紀初頭のアールデコ調の建物

左:ラザロ地区。この一画にある聖ラザロ教会は、マカオで最初のカテドラルとして司教座が置かれ、中国人司教を多く輩出、中国人への布教の中心地区となった 右:紅街市。壁が赤いため、この名がついた。20世紀初頭のアールデコ調の建物

左:観音堂の起源は13世紀だが、現存の建物は1627年のもの 中:ギアの丘から望む、マカオのパノラマビュー 右:ロウリムイオック庭園の東屋で広東オペラの練習中

左:観音堂の起源は13世紀だが、現存の建物は1627年のもの 中:ギアの丘から望む、マカオのパノラマビュー 右:ロウリムイオック庭園の東屋で広東オペラの練習中