5.路地裏のマカオ生き証人


老舗が集う職人の街で
飾らない素顔のマカオに出会う

16歳からこの道一筋。「滄洲咖啡小食」のパン職人、梁(リョウ)さん

16歳からこの道一筋。「滄洲咖啡小食」のパン職人、梁(リョウ)さん

観光客で賑わうセナド広場にほど近い、聖ドミニコ教会を過ぎた辺りの路地を1本入ると、まるで別世界。細い石畳の通りの両側は、昔ながらの商店が軒を連ねている通り、関グワンチンガイ前後街と果クォンランガーイ欄街。時代の流れでやむなく閉めてしまった商店もあるが、家具店や骨董品店、線香を作っている店や、たくさんの種類の豆を売る店、145年も続く椰子店など、何代も受け継がれてきた昔ながらの風景が残されている。 内港近くに小さな店を構えるオイスターソース専門店「榮甡蠔油庄」は、今年で86歳になる3代目のおじいさんが、一人で製造から瓶のラベル貼り、店番までこなしている。オイスターソースはもちろん、店内のショーケースも看板も、おじいさんが座る椅子も、110年の歴史が詰まったマカオの貴重な財産。
オイスターソース店から歩いて5分の十月初五街には、年月を感じる茶缶が陳列する、マカオ最古の茶葉販売店「英記茶荘」がある。看板おじいさんは、オイスターソース店の主人と同じく、今年で86歳を迎えるという。自身が掲載されている日本のガイドブックを広げて、笑顔で自分と写真を交互に指を差している姿が何ともチャーミング。
同じ通りにある60年以上続くパン屋さん「滄洲咖啡小食」。ココナッツの餡をパイ生地で包んだパン、老婆餅は必食だ。「エッグタルトが食べたければ、朝一番に来なさい」とのアドバイスもいただいた。

鮮やかな色の線香が並ぶ 線香の店

鮮やかな色の線香が並ぶ
線香の店

また、威勢のいい名物おばさんが営む「李禧記」の温かいショウガ入りの牛乳プリンも見逃せない。「うちは牛のなかでも最も脂肪分の高い水牛の乳を使用しているのよ」と名物おばさんが自慢げに教えてくれた。とろけるような柔らかいプリンは一度食べたらクセになるはず。ここ下町は、そんな人々とのふれあいが楽しく、優しさが心に染みる。