「アズレージョ」の青はポルトガルの記憶


blue

Blue :Blue of “Azulejo” is a Memory of Portugal

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街のあちこちに見かける白地に青

アズレージョが随所に使われている民政総署。階段の直線と青い文様の柔らかな曲線のコントラストが美しい。

アズレージョが随所に使われている民政総署。階段の直線と青い文様の柔らかな曲線のコントラストが美しい。

マカオを代表する「セナド広場」。波打つデザインの敷石にポルトガルの天球儀を模した噴水が水しぶきを上げる広場と新馬路(サンマァロゥ)をはさんで真向かいに建つのが民政総署だ。

1784 年に建てられ、ポルトガル統治の中枢「澳門市政庁」として機能してきた。

現在は、世界遺産でありながら、現役のお役所である地方自治局として、マカオ市民の生活に深くかかわっている。

この建物で印象的なのが「青」だ。アズレージョというポルトガル伝統の装飾タイルの青が建物のあちこちに配され、マカオとポルトガルの関係の深さを感じさせる。

青一色の中に描かれているのは花や紋章、魚や動物などさまざまなモチーフ。個性豊かな図柄は詳細に眺めてみると楽しい。

青一色の中に描かれているのは花や紋章、魚や動物などさまざまなモチーフ。個性豊かな図柄は詳細に眺めてみると楽しい。

夏の日差しを遮る薄暗い玄関を入ると、正面に伸びる階段の両側のアズレージョは、強い光に慣れた目にやさしく映る。ほかにも、建物や中庭には、たくさんのアズレージョが目に付く。中庭に向かう階段の両側の壁、中庭に面した建物の壁。さまざまな場所にアズレージョがはめ込まれ、ポルトガルの雰囲気を今に伝えている。

「この模様、イスラムっぽい雰囲気もあるね。歴史の面白さかしら」。

居合わせた二人連れの女性たちは、イベリア半島への旅の経験から、そんな話題で盛り上がっている。

数あるアズレージョの中でも、見逃せないのは中庭の周囲に一段下がった壁沿いに飾られている数枚だ。中庭の緑、建物の白い壁を背景にしたアズレージョは、その白いタイルと青い文様や文字が涼し気な印象を与える。順番に見ていくと、それぞれ文様が異なり、遠い時代にこれらの図柄を描いた人たちの息遣いが伝わってくるようだ。

ちなみに、建物入り口左側のショップでは、アズレージョをデザインしたお土産品もそろっている。

アズレージョって何?

ポルトガル学校の壁画。黄色が入ったアズレージョは珍しい。

ポルトガル学校の壁画。黄色が入ったアズレージョは珍しい。

アズレージョに描かれた民政総署。代々の建物が図柄になっている。

アズレージョに描かれた民政総署。代々の建物が図柄になっている。

もともとはポルトガルのタイルのこと。柄があっても無地でも、手作りでも工場生産品でも、タイルならすべてアズレージョと呼ばれる。

語源は、ポルトガル語の「青(アズール)」という説もあるが、もっと古くペルシア語という説もある。

また、ギリシア神話にも出てくる高貴な石「ラピス・ラズリ」という青い石に使われた「ラズリ」という言葉が「青」の意味であることから、そこにも由来があるとも言われている。

由来は諸説あるが、真相は定かではない。まつわる説の多さは、それだけ長い歴史の積み重なりであり、多くの文化の影響を受けてきた証といえるだろう。

また、連綿と続くアズレージョの歴史は、一枚一枚のそれぞれの文様を描いた職人たちの技術の継承でもある。

長い長い時間の中を生きてきたアズレージョは、今日もマカオの街角で、あるいは世界遺産の中で、道行く人を見つめ、じっと黙して語らない。

イエローの壁にブルーのアズレージョが美しいカテドラル(大堂)近くの路地。

イエローの壁にブルーのアズレージョが美しいカテドラル(大堂)近くの路地。

聖フランシスコ・ザビエル教会の礼拝堂。白い雲が浮かぶ青空を背景にしたキリスト像は、いかにも南欧らしい明るさに満ちている。

聖フランシスコ・ザビエル教会の礼拝堂。白い雲が浮かぶ青空を背景にしたキリスト像は、いかにも南欧らしい明るさに満ちている。


青い礼拝堂で祈る

コロアン・ビレッジの「聖フランシスコ・ザビエル教会」の礼拝堂は、マカオの青空を思わせる。祭壇には十字架のイエス・キリストと聖母子像が飾られ、ザビエルの肖像画もおかれている。ひざまずいて祭壇を見上げると、青い青い空の上にキリストが昇っていくかのようだ。

はるばるとヨーロッパから伝わってきたキリスト教は、この地でポルトガルの青とマカオの空の青に彩られている。

ホテルのプールで水の青さを楽しむ

巨大リゾートが次々と建設されているマカオ。食事もエンターテイメントも一流どころが集まっている。

夏の休日なら、こうしたラグジュアリーホテルのプールでとひときを過ごすのがおすすめだ。

青い水をたたえたプールは、海を見ながらゆったり泳いでもいいし、プールサイドのデッキチェアでまどろんでもいい。夏のマカオこそ、ホテルのプールを満喫しよう。

そのひとつ、2011 年、コタイに開業した大型リゾートホテル、ギャラクシー・マカオのプールは本格的ビーチリゾートといってもいい。プールは2つのタワー間の屋上部分のグランドリゾートデッキにある。デッキの広さは約5000平方メートルで、全長575 メートルの流れるプールや、最高1・5メートルの波がくるプールと白い砂の人工ビーチもあり、一日中、遊べる。

ギャラクシー・マカオのプールは南国のビーチそのもの。風水的には、青い水をたたえたホテルのプールも縁起物?

ギャラクシー・マカオのプールは南国のビーチそのもの。風水的には、青い水をたたえたホテルのプールも縁起物?

サンズ・コタイセントラル内にあるコンラッド・マカオ・コタイセントラルのプールには高さ80センチほどの透明なプラスチックのアヒルのオブジェがふんわりと浮かび、愛嬌をふりまいている
また、コタイ地区の「シティ・オブ・ドリームズ」のエントランスは、大型スクリーンをゆったりと泳ぐ人魚が出迎えてくれる。専用シアターでは、マカオでしか楽しめない水をテーマにしたショー「ザ・ハウス・オブ・ダンシング・ウォーター」が人気を集めている。

現代的なホテルでも、風水を取り入れて、プールだけでなく噴水やインテリアなどにも水を多く使っている。マカオでは、水は富の象徴なのだ。