庶民を守る地元の神様の誕生日は、マカオの春の始まり


Celebration of the Holidays Brings Excitement

「土地誕」では、あちこちの土地廟に仮設のステージができ、ユネスコ無形文化遺産に認定された 粤劇(えつげき)と呼ばれる広東オペラが無料で上演される

「土地誕」では、あちこちの土地廟に仮設のステージができ、ユネスコ無形文化遺産に認定された粤劇(えつげき)と呼ばれる広東オペラが無料で上演される

土地誕は、地域の守護神

マカオのもうひとつの春のお祭り「土地誕」。青龍偃月刀を持 った「関聖帝君」は「、三国志」でおなじみの武将、関羽のこと。

マカオのもうひとつの春のお祭り「土地誕」。青龍偃月刀を持 った「関聖帝君」は「三国志」でおなじみの武将、関羽のこと。

土地誕は、マカオで旧暦2月2日(2018年は3月18日)に行われる伝統行事だ。土地爺、土地公などとも呼ばれる地域を守護する土地神の誕生日を祝うもので、マカオではいたるところにある土地廟が、お参りに訪れる参拝客でにぎわい、豚を焼いたり、餅を配ったり、獅子舞や広東オペラ(粤劇=えつげき)の奉納などが行われる。

赤と金、黄色といった鮮やかな色彩のなか、線香の香りに、豚などを焼いた食べ物のにおいが入り混じり、春節とはまた違ったざわざわした雰囲気が、いかにも庶民の祭りらしく楽しい。

「土地神は財の神様でもあるので、マカオでは、商売をしている人や会社経営者たちが熱心に信仰しています。大きな土地廟以外にも、商店の店先や、普通の住居の前にも小さな祠があるほど。土地誕では、それらも綺麗に飾られるので、路地裏を巡る楽しみも増します」と現地に住むコーディネーター。

土地誕で活気づく下町エリア

土地誕で特ににぎわうのは、マカオ半島のカモンエス公園に隣接している沙梨頭土地廟と、ヴァスコ・ダ・ガマ公園近くの雀仔園福徳祠。沙梨頭土地廟には、3つの土地廟に加え、観音様を祭る祠もある。一方の雀仔園は、1939年に開設された古い歴史を持つ街市(公設市場)でも有名。、旧暦2月2日をはさんだ5日間にわたり、狭い路地のあちらこちらで金の豚で神を祀り、獅子舞やオペラが上演される。

「土地誕」では、あちこちの土地廟に仮設のステージができ、ユネスコ無形文化遺産に認定された 粤劇(えつげき)と呼ばれる広東オペラが無料で上演される

「土地誕」では、あちこちの土地廟に仮設のステージができ、ユネスコ無形文化遺産に認定された 粤劇(えつげき)と呼ばれる広東オペラが無料で上演される 。

無料で見られるオペラと地元の庶民の店で味わうグルメ

土地神様の誕生を祝って、華やかな 飾りつけがされた通りは、大勢の人でにぎわう 右粤劇の役者のあでやかな化粧姿。広東語で行われ る広東オペラはすっかり、マカオの人々の生活に根付いている。

土地神様の誕生を祝って、華やかな 飾りつけがされた通りは、大勢の人でにぎわう 右粤劇の役者のあでやかな化粧姿。広東語で行われ る広東オペラはすっかり、マカオの人々の生活に根付いている。

土地の神様が主役だけに、各地の町内会がお年寄りに食べ物をふるまったり、無料でオペラを上演するのも土地誕ならではのこと。粤劇と呼ばれる広東オペラは、ユネスコ無形文化遺産に認定された、広東省や香港、マカオで育った古典劇だが、マカオの人たちの生活に完全に溶け込んでおり、土地誕では、午後7時ごろから、30分ほどのプログラムが入れ替わり立ち代わり、深夜まで続けられる。

ちなみに粤劇は広東語の発音では「ユッケッ」。北京の京劇との違いは、第一に広東語を使うこと。さらにセリフがほとんど歌になっていて、打楽器などの音楽、化粧の仕方にも違いがあるという。

雀仔園の近くにあるのが、ポルトガル料理の人気店、富仕葡式美食だ。この店の名物は、チキンライス。鳥一羽の骨を抜き、中にチキンライスがむっちりと詰め込まれている。ジャガイモを使ったバカリャウ入りマッシュポテトのグラタンなど、地元ならではの料理が並ぶ下町の老舗。値段もリーズナブルなので、土地誕見物とともに楽しみたい。

 

 

「食いしん坊の街」マカオで、食を堪能する

世界が注目するマカオの食文化

マカオ料理の代表格 「アフリカン・チキン」

マカオ料理の代表格「アフリカン・チキン」

ユネスコのプロジェクト「創造都市ネットワーク(UCCN)」に、このほどマカオが食文化部門の認定都市として登録された。

UCCNは、2004年から始まったプロジェクトで、各国各地の文化の多様性を保持し、可能性を広げるのが目的だ。文学、映画、音楽、工芸、デザイン、メディアアート、食文化の7部門があり、食文化部門での登録は世界26都市(2017年11月1日現在)。マカオは成都、順徳に次いで中国で3番めの認定登録となる。ちなみに日本では、山形県鶴岡市が認定されている(2014年)。

食文化は、マカオを特徴づける重要な要素。柱となるのは、マカオに最初に住み着いた中国人漁師たちが持ち込んだ広東・福建料理、約450年前に上陸したポルトガル人たちの料理、それらが融合し、独自の発展を遂げたフュージョン料理としてのマカオ料理だ。

世界の有名シェフの味と庶民の味

また、近年では、エンタメ&リゾート都市としての発展が目覚ましいマカオを訪れる美食家に対応すべく、海外の有名シェフがマカオに集結している。

例えば、2018年1月に開業予定の統合型リゾート「MGMコタイ」には、ミシュラン2つ星の実績を持つフランス系アルゼンチン人、マウロ・コラグレコ氏のステーキハウスのほか、ペルーの有名レストランでシェフを務める日系ペルー人のミツハル・ツムラ氏のフュージョンレストラン、米国の料理番組の司会も務める人気シェフ、グラハム・エリオット氏のカリフォルニアキュイジーヌ、2年連続でアジアのベストパティシエ50に選ばれ、東京・新宿 のデザートバーも大人気のシンガポール人パティシエ、ジャニス・ウォン氏のカフェという、グルメ垂涎の布陣。一方、街を歩けばカレーおでんや、ポークチョップバーガー、エッグタルトに牛乳プリンなど、気軽なグルメも充実。伝統と革新、ファインダイニングとローカルフードが同居するマカオの食文化は、他に類を見ない絶妙なバランスで、これからも発展していくだろう。

注目の「ビブグルマン」で、今夜のディナーを決める!

マカオの家庭料理「ミンチィ」

マカオの家庭料理「ミンチィ」

「ミシュランガイド」の新しい評価指標としていま注目の「ビブグルマン」。「ビブグルマン」とは、フランス語の「グルマン」(「欲張り」「食いしん坊」といった意味)に由来する語で、ミシュランの星からは外れるものの、5000円以下で食べられる安くてコストパフォーマンスの高いお店のお墨付きだ。

ちなみに、「ビブ」は、ミシュランのマスコットキャラクター「ビバンダム」の愛称で、ビブグルマン印の店舗には、ビバンダムの顔をあしらったマークが付けられる。11月30日に発売された「ミシュランガイド 香港・マカオ2018」で、マカオからビブグルマンに認定されたのは、以下の9軒だ。

▽カスチゾ(ポルトガル料理)▽陳勝記(広東料理)▽祥記(麺)▽鼎泰豊シティ・オブ・ドリームズ店(上海料理)▽濠江志記美食(広東料理)▽IFTエデュケーショナルレストラン(マカオ料理)▽老記ファイチーケイ店(広東料理)▽六記粥麺(粥・麺)▽陶陶居(広東料理)。

いずれも名店揃いだが、たとえば、モンハの丘の上に建つ、IFTエデュケーショナルレストランは、マカオ名物の「アフリカン・チキン」の名店。素揚げのジャガイモとスパイシーなひき肉の上に目玉焼きを載せたマカオ料理「ミンチィ」もお勧めとか。観光専門大学のトレーニング施設を兼ねて作られたレストランなので、プロの指導を受けた学生が真剣にサーブしてくれ、もてなしも一流だ。

香港・マカオ版のビブグルマンの基準は、前菜、メインディッシュ、デザートのコースで300香港ドル=約4500円以下なので、お財布を気にせず豪華ディナーを楽しめる。

高級レストランのディナーもいいが、気取らずおいしい庶民派グルメで、マカオを楽しむのもいい。