Autumn in Macao is Full of Events
"音楽の都"マカオ
9月28日から10月28日の約1ヶ月にわたって開催される「マカオ国際音楽祭」。世界のトップミュージシャンが集結、マカオは”音楽の都“になる。
今年で32回目となる同音楽祭は「音楽で世界を結び、よりよい世界を築き上げる」ことをモットーに、今や中華圏で最も有名な音楽イベントに成長。マカオ在住の日本人女性は、「音楽ファンの間では、この時期、『マカオでオペラを見て、赤ワインを傾け、おいしい料理を楽しもう』が、合言葉です」と話す。
今年のテーマは「Enjoy -theMoment in Music(楽しもう、音楽の瞬間を)」。魂によろこびと充実をもたらす瞬間を体感できる17プログラム、全20公演が予定されている。
注目のグランド・オープニングは、100年以上の歴史を持つスイスの名門、チューリッヒ歌劇場が、ベルカント・オペラの巨匠、ドニゼッティの没後170年を記念して、「愛の妙薬」を上演(9月28、30日)。
ドニゼッティは、ロッシーニやベッリーニとともに、19世紀前半のイタリアを代表するオペラ作曲家で、生涯で78ものオペラを残した人物。その代表作といえる「愛の妙薬」(1832年初演)は、村一番の美人アディーナと、彼女に恋する不器用な青年ネモリーノが、偽の惚れ薬”愛の妙薬“によって結ばれるロマンティック・コメディだ。前出の女性は、「心躍るストーリーのなかに、甘美で哀愁たっぷりのメロディが流れる名作。この機会にオペラデビューしたいという方にもピッタリの作品」と、すすめる。
世界遺産の建物も会場に
地元マカオ・オーケストラは、上海フィルハーモニー管弦楽団とともに、ブルックナーの交響曲第8番を演奏(10月6日)。さらに、ギター界のロイヤルファミリーと称される、スペインのギターカルテット、ロス・ロメロや、高名なブラジルのチェロ奏者アントニオ・メネセス、モーツアルトの故郷であるオーストリアの室内管弦楽団、カメラータ・ザルツブルクなどの出演も話題となっている。
星付きホテルのコンシェルジュ氏は、自身も音楽祭の大ファンで、「オペラにオーケストラ、弦楽四重奏、ボーカルアンサンブル、ジャズ、クラシックギター、エレクトロニックミュージックなど、世界の一流どころの公演が、気軽に楽しめるのもこの音楽祭の魅力。既に売り切れの公演もあるので、チケットはお早めに」と、優雅に微笑んだ。
会場は、マカオ文化センターのほか、1860年に立てられた中国最初の西洋式劇場「ドン・ペドロ5世劇場」や、同じ頃に建てられた、中国の文豪で実業家の鄭観應(テイ・カンオウ)の中国式住居「鄭家屋敷」といった世界遺産も含まれる。西洋と東洋の文化が融合するロケーションでの国際色豊かな音楽体験は、マカオならではの醍醐味だ。
音楽と光の祭典
「マカオ国際マラソン」と同じ12月2日にスタートする、「マカオ・ライト・フェスティバル2018」(12月31日まで)と、16日開催の「マカオ・インターナショナル・パレード2018」にも注目だ。
「マカオ・ライト・フェスティバル」は、市内の広場や歴史的建造物が、光のアートに彩られるイルミネーションイベント。マカオ政府観光局とマカオ在住クリエーターがタッグを組み、色鮮やかなライトアップや、ストーリー性のあるプロジェクションマッピング、インスタレーションなどを繰り広げる。クリスマス・シーズンでもあるため、ツリーやサンタクロース、スノーマンなどをかたどったランタンやオブジェもたくさん。民政総署や郵便局といった公共の施設も電飾に彩られ、街全体がキラキラと輝く。点灯時間は例年、19時から22時くらいまで。ディナーのあと、ゆっくり夜の散歩を楽しめるのは、治安のいいマカオの魅力のひとつだ。
「昨年は、『アモーレ・マカオ』をテーマに、セナド広場や聖ポール天主堂跡などの世界遺産エリアのほか、ヨーロッパ風の街並みが広がるラザロ地区や、タイパ地区にあるタイパ・ハウスでも、ロマンティックなライトアップを見ることができました。今年はどんな光のアートが見られるのか、今から楽しみ。ボーイフレンドと一緒に見に行きたいです」と、楽しそうに語る地元の学生たち。フェスティバル中は、インタラクティブゲームや、ステージイベントなども予定されている。
国際色豊かなお祭りも注目
「マカオ・インターナショナル・パレード」は、マカオ特別行政区政府の設立を記念して2011年に始まったイベント。海外のラテン諸国、中国本土、地元マカオの民族舞踊チームなど、約50団体、1200人が参加。カラフルで個性的な衣装を身にまとったダンサーたちが、マカオ半島の市街地を練り歩く。
現地ガイドの女性は、「沿道に集まった見物客と踊り手が一体となって大いに盛り上がる姿は、大航海時代からマカオで脈々と行け継がれてきた、ラテンの血を感じさせます。フィナーレでは、このパレードのテーマである『文化の融合』と『愛』『平和』を高らかに謳い上げるがごとく、各パフォーマーたちのダンスや音楽、光の演出が最高潮に。思わず涙が出てしまうほど、感動的です」と、熱く語る。
いずれも、この時期マカオを訪れるなら、絶対に見逃せないイベントだ。
その他のイベントもお見逃しなく!
高級レストランの味も屋台で気軽に
「第18回マカオ・フード・フェスティバル」(11月9日~25日)
マカオタワー前の西灣湖広場で約2 週間にわたり開催され、毎年100 店以上の屋台が出店する食の祭典。マカオ料理や広東料理、ポルトガル料理をはじめ、アジア各国や欧州など、世界各地の“ 本場の味” が、一皿30MOP(約420 円)から楽しめる。一人では入りづらい有名ホテルや高級レストランの味も、手頃な価格で味わえる。2018 年はシンガポール料理にフォーカス。
年々スケールアップする映画の祭典
「第3回マカオ国際映画祭」( 12月8~14日)
数々の映画のロケ地としても活用されているマカオに、国内外のプ レスやバイヤー、監督、映画スターといった映画業界のキーパーソンら約500 人が集い、シアターでは国際色豊かな映画を上映。第1 回のチャン・グンソク、第2 回のジェレミー・レナー&ミリアム・ヨンに続き、第3 回のアンバサダーを務めるのはニコラス・ケイジ、香港のスターのアーロン・クオック。また、第3 回国際映画祭賞の審査員長には、日本でも知られる中国の巨匠、陳凱歌(チェン・カイコー)が就任。これまで以上の話題を呼びそうだ。
ポルトガル語を使う国々のお祭り
「第21回ルゾフォニア・フェスティバル」(10月19~21日)
ルゾフォニアとは、ポルトガル語で、ポルトガル、マカオ、ブラジルなど、ポルトガル語を公用語とする(した)国や地域を指す言葉。メイン会場となるタイパ・ハウス周辺では、ポルトガル語圏諸国の郷土料理、手工業の屋台が並び、各地の歌やダンスなどのパフォーマンスが繰り広げられ、毎年2万人以上の人出で賑わう。日本とも関わりの深いポルトガル語圏諸国を身近に感じられるイベントだ。