いつもと違うルートで、素顔のマカオを楽しむ


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Day in the Life of Macao’s Alleys

1582 年に聖アントニオ教会付属の礼拝堂として現在の場所に移された聖ポール天主堂。何度かの火災に遭い、現在残っている正面のファサードは 1835年に再度の火災に見舞われた際に、唯一残ったもの。  観光客らでいつもにぎわっている正面とはうらはらに、横道は静かなたたずまい。天主堂の威容もじっくり眺められる。

1582 年に聖アントニオ教会付属の礼拝堂として現在の場所に移された聖ポール天主堂。何度かの火災に遭い、現在残っている正面のファサードは 1835年に再度の火災に見舞われた際に、唯一残ったもの。  観光客らでいつもにぎわっている正面とはうらはらに、横道は静かなたたずまい。天主堂の威容もじっくり眺められる。

聖ポール天主堂跡も横道に入れば静けさが漂う

「西遊記」に登場する暴れん坊の神様ナーチャを祀る廟。カトリックの聖ポール天主堂跡の雰囲気と対照的に、赤を多用した東洋風の建物は、小さいながら存在感たっぷりだ。

「西遊記」に登場する暴れん坊の神様ナーチャを祀る廟。カトリックの聖ポール天主堂跡の雰囲気と対照的に、赤を多用した東洋風の建物は、小さいながら存在感たっぷりだ。

正面のファサードだけが残る聖ポール天主堂跡。ファサード前の階段は、いつも観光客があふれている。ところが、ちょっと横にそれてみると意外なほど静か。喧噪を避けた横道歩きは、聖ポール天主堂跡の裏手にある小さな祠、ナーチャ廟から始まる。

ナーチャは中国の神話に登場する道教の神童で、疫病退治の神とされている。参詣に来ていた中国文学が大好きという若い日本人男性は、「ナーチャはもともとは中国の民間信仰の神で、すごい暴れん坊。『西遊記』でも孫悟空相手に大暴れしています。私は子供のころから『西遊記』ファンで、一度はナーチャ廟にお参りしたかったんです」という。

普段着姿の市民が行きかう連勝街。途中に建つアミューズメント施設には、アイススケートリンク、ゲームセンター、ボウリング場が入っている。

普段着姿の市民が行きかう連勝街。途中に建つアミューズメント施設には、アイススケートリンク、ゲームセンター、ボウリング場が入っている。

この廟は、1888年に、マカオで流行した疫病を止めるために建てられた。カトリックの聖ポール天主堂跡に中国寺院が並ぶのは、いかにも東西文化が融合しているマカオらしい。すぐ隣にある古い城壁のアーチを入ると、大三巴哪吒展示館ダィサンパァナーチャジンシーグンになっている。小さな展示館の内部には、毎年旧暦5月18日に行われる「ナーチャ祭」で街中を練り歩くナーチャ像と山車がちょこんと置かれている。

ナーチャ廟を背に坂道を下っていくと、すれ違うのは地元の人ばかり。聖ポール天主堂跡前の賑わいがウソのようだ。古い城壁に古いアパート、サビの入ったベランダに干された洗濯物が南国の風に翻り、世界遺産のすぐ隣に共存しているマカオの暮らしが見えてくる。

カモンエス公園は、 庶民の社交場?

ナーチャ廟から静かな坂道と階段を下りてくると一転して、賑やかな通りにぶつかる。

聖アントニオ教会を過ぎた先にある濃い緑の広がりは、16世紀ポルトガルの国民的詩人ルイス・カモンエスにちなんだカモンエス公園だ。公園前の広場は世界遺産に登録されている。

小高い丘がそのまま公園になっており、あちこちに人の背丈よりも高い巨石が目立つ。暑さに逃れて洞穴で執筆したという逸話が残るカモンエスらしく、彼の胸像も巨石で造った洞内に置かれている。真夏は、その蒸し暑さからカモンエスならずとも洞穴に逃げ込みたくなるマカオだが、秋は気温も下がり、豊かな公園の緑が涼風を運び、心地良い午後が過ごせる。

カモンエス公園では、モップで書を書く人中なぜかメイクに余念のない女性グループら、庶民が自由に空間を楽しんでいる。

カモンエス公園では、モップで書を書く人中なぜかメイクに余念のない女性グループら、庶民が自由に空間を楽しんでいる。

マカオの人々は公園が好きだ。普段着のままやって来て体操したり、将棋をさしたり、グループで踊っている人もいたりと、公園をフルに使っている感じがする。

この日も、ラジカセを腰から下げて大音量で音楽を流しながら一人で体操をしているおばさん、木陰の階段に腰掛けてお化粧に余念のない女性グループ、麻雀の卓を囲む人とそれを見物する人など、好みのままに公園を活用している。

公園の入り口では、石畳の枠を半紙に見立てて見事な書を披露している老人を発見。毛筆ならぬモップを水の入ったバケツに付けては、一気に文字を書いていく。書きながら周囲の見物人に意味を説明しているようだ。

日差しで文字は乾いていってしまうが、そのはかなさも見物人を引きつけるのかもしれない。

競馬好きには 縁起の良い通り

公園での青空将棋。対戦している人の周りを囲む人からも、あれこれと“戦術”のアドバイスが飛びだし、にぎやかだ。

公園での青空将棋。対戦している人の周りを囲む人からも、あれこれと“戦術”のアドバイスが飛びだし、にぎやかだ。

カモンエス公園から、庶民的な店が並ぶ通りを歩く。通りの名前は連勝街(リンセンガイ)。競馬好きが見たら、「なんと、縁起のいい名前の通りだ」とゲンをかつぐかもしれない。

車がひっきりなしに走る通りの両側には、乾物、野菜、果実などの食料品、麺の店、骨董ともいえない古い食器、衣類、子供用品など庶民の生活に欠かせない品々を商う店が並んでいる。通りの途中にはなんとアイススケートリンクがあり、「スケートには入場料が

必要だけど、建物に入るだけなら無料だよ」 と建物入り口の階段に座って涼んでいる地元のおじいさん。おばあさんの姿も目立つ。

道行く人も普段着にサンダル履き、買物かごを下げた姿で、近くのアパートからぶらりと出てきたという風情だ。セナド広場や聖ポール天主堂跡といった観光名所でみかける人々とのたたずまいの違いが面白い。

なぜかメイクに余念のない女性グループら、庶民が自由に空間を楽しんでいる。

なぜかメイクに余念のない女性グループら、庶民が自由に空間を楽しんでいる。

名前の由来になったポルトガルの国民的詩人カモンエスは洞窟の中からその姿を眺めている!?

名前の由来になったポルトガルの国民的詩人カモンエスは洞窟の中からその姿を眺めている!?

連勝街で見つけた屋台の床屋さん。のんびりと新聞を読みながら順番を待つ人は、「きっと常連なのだろうな」と思わせる雰囲気。「ボクもいつも使っているよ」と地元のビジネスマン

連勝街で見つけた屋台の床屋さん。のんびりと新聞を読みながら順番を待つ人は、「きっと常連なのだろうな」と思わせる雰囲気。「ボクもいつも使っているよ」と地元のビジネスマン



面白い街路表示を見つけるのも
横道歩きの楽しみ

p3-9アズレージョで作られた「連勝馬路」の表示。競馬ファンなら思わず必勝祈願してしまいそうだ。マカオの通りには面白い街路表示も多い。内港に近い大通りは「火船頭街(フォーシュンタイオガイ)」、媽閣山(マァコウサン)に近い「鮑公馬路(パウコンマァロゥ)は、「昔は鮑が取れたのだろうか?」などと想像を巡らせてしまう。コロアン・ビレッジの「船人街(シュンヤンガイ)」のように土地に由来する街路表示も多く、通りの表示を楽しみながら横道にそれていくのも、楽しい歩き方だ。