10月 世界遺産の建物で、妙なる調べを聴く


「マカオ国際音楽祭」のグランド・オープニングを飾るのは、オペラ「アンドレア・シェニエ」。

「マカオ国際音楽祭」のグランド・オープニングを飾るのは、オペラ「アンドレア・シェニエ」。

October: listen to the sound of music in the World Heritage

マカオが”楽都“になる

10月のマカオは、音楽ファンなら見逃せないコンサートが目白押しだ。9月29日から10月30日の約1ヶ月にわたって開催される「第31回マカオ国際音楽祭」は、世界のトップアーティストたちが素晴らしい演奏で観客を魅了してくれる。

今年のテーマは、「ライジング・スター」。クラシックからジャズ、民族音楽に現代音楽など、輝かしい新時代を見据えた17プログラム全20公演が予定されている。

現地ガイドの女性は、「地元マカオっ子はもちろん、世界の音楽ファンからの注目が年々高まっているイベントです。一流の音楽を120パタカ(約1700円)から気軽に楽しめるとあって、人気アーティストのチケットは争奪戦。前売り券の発売日になると、販売所に長蛇の列ができるのも、おなじみの風景。すでにチケットが完売している公演もあるので、気になる公演は、早めにチェックしたほうがいいですよ」と教えてくれた。

ウィーンフィルとイタリアオペラ

注目のグランド・オープニング・プログラムは、オーストリアのウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と、イタリア・トリノ王立歌劇場の共演による「アンドレア・シェニエ」。激動のフランス革命を舞台に、詩人シェニエと伯爵令嬢の悲恋を描く、ウンベルト・ジョルダーノ(イタリアのオペラ作曲家)の人気オペラだ。

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団といえば、音楽の都ウィーンを代表する管弦楽団。約170年前、ハプスブルグ家が統治していた時代に創立された伝統のオーケストラだ。元日に開催される「ニューイヤーコンサート」のチケットはプレミアが付き、世界一高価なことでも有名だ。このコンサートは毎年、日本のNHKをはじめ、90 を超える国や地域で生中継され、世界中で楽しまれている。

一方、トリノ王立歌劇場は、オペラの国・イタリアの至宝ともいわれる存在。ジョルダーノの生誕150年を祝うのにふさわしい、珠玉の共演になることは間違いない。

オペラが好きで、世界各地の劇場に足を運ぶという日本人女性は、「なんとも贅沢な組み合わせに、迷わずチケットを押さえました。マカオ国際音楽祭は初めてですが、ウィーンとトリノの芸術的融合が、今から楽しみです」と、ワクワクが止まらない様子だ。

グラミー賞受賞のゴスペルなど多彩なプログラム

グラミー賞を受賞した南アのゴスペル合唱団「ソウェト・ゴスペル・クワイア」

グラミー賞を受賞した南アのゴスペル合唱団「ソウェト・ゴスペル・クワイア」

米国のグラミー賞で、2年連続の「最優秀トラディショナル・ワールドミュージック・アルバム賞」に輝いた南アフリカのゴスペル合唱団「ソウェト・ゴスペル・クワイア」や、米国のジャズヴォーカリスト、ジャズメイア・ホーン、ロシアのピアニスト、ルーカス・ゲニューシャスなど、才能溢れるフレッシュなアーティストが多数出演するのも今回の特徴。ベルリンを拠点に活躍する日本人作曲家で、「音の魔術師」とも呼ばれるelfog(藤田正嘉)の出演も、話題を呼んでいる。ジャンルを超越した彼の現代音楽は世界的に人気で、残念ながらチケットはすでに完売だとか。

「われらがマカオ・オーケストラの公演も、絶対見逃せないよ」とは、クラシックファンのマカオ人男性だ。1983年に設立されたマカオ・オーケストラは、王道の西洋クラシック音楽だけでなく、東洋の音楽、西洋と東洋を融合した音楽を得意とする楽団。今年は、香港の人気歌手で俳優でもある、ウイリアム・ソーとの共演が予定されている。

世界遺産も会場になる

マカオ中が音楽ステージとなる「マカオ国際音楽祭」だが、特筆すべきは、世界遺産の建造物を舞台にした公演も数多くあること。例えば、1860年に建てられた中国最初の西洋式劇場「ドン・ペドロ5世劇場」は、マカオ・オーケストラの本拠地でもあり、定期演奏会や公共の催事などにも使われている、”生きた世界遺産“だ。

「席数は約300席と小ぶりですが、2階席もあって雰囲気は抜群です。建物がつくられた1800年代の人たちも、同じ響きで音楽を楽しんだのかと想像すると、感慨深いものがありますね」と、前出の現地ガイド女性。今年はマカオの街ごと、「芸術の秋」にどっぷり浸ってみてはいかが?

マカオ音楽祭の会場となる世界遺産

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ドン・ペドロ5世劇場
1860 年に建てられた、中国初の西洋式劇場。名前の由来は、当時のポルトガル王・ドン・ペドロ5世から。当初は男性専用の社交場だったがその後劇場となり、音楽、ダンス、演劇などを上演。長年、マカオのエンターテインメントの中心だった。パステルグリーンの外壁にオレンジの瓦屋根、イオニア式の円柱が並ぶ荘厳な雰囲気のファサードが目を引く。

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聖ドミニコ教会
1587 年、メキシコのアカプルコから来たドミニコ会スペイン人修道士により建立された教会。1822 年、ここで中国初のポルトガル語の新聞が発刊されたことでも知られる。かつて建物の裏手にあった鐘楼は、小さな宗教芸術の博物館として改築され、現在は約300点の宗教的装飾品などを展示している。パステルイエローの外壁にグリーンの扉と窓が映える、バロック様式の外観も美しい。

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モンテの砦
1617 年から1626 年にかけてイエズス会の協力の下に築かれた、マカオ最大・最強の防衛施設。砦には大砲、軍部宿舎、井戸のほか、2年間の攻撃に耐えうるよう、兵器工場や貯蔵庫もあった。砦は台形で、広さは約1万平方メートル。四隅は防御能力を高めるために、突き出すように設計されている。敷地内にはマカオの歴史や文化を紹介する「マカオ博物館」がある。

ドイツ・ミュンヘンのビール祭りを再現

「MGMマカオ」で開催される「オクトーバーフェスト2017」(10月12 日~ 22 日)は、ビールの本場、ドイツ・ミュンヘンの伝統的なビール祭りを再現したもの。今年で9回目を迎える人気イベントで、ドイツ南部などのさまざまなビールや、バイエルン地方の伝統料理が味わえるほか、生バンドによるドイツ音楽のパフォーマンスも見もの。ノンアルコールドリンクも用意され、ビールが飲めない人や子どもたちも大丈夫。ゲームコーナーもあり、家族みんなでお祭り気分を満喫できる。入場料は170パタカ( 約2400円)。チケットはMGMマカオ1階の「Pastry Bar」前で販売される。