赤レンガ造りのレトロな生鮮食品市場 紅街市


水を張ったトレーにも生きた魚がいっぱい

水を張ったトレーにも生きた魚がいっぱい

t1生きたままの魚がいっぱい

「ガンハイサンシンラ!」(新鮮に決まってるでしょ!)
魚売り場のおばさんが、語気を強めてこう言い切るや、「どうしてそんなこと聞くの?」と言わんばかりに首をかしげてしまった。

ここは、マカオ半島北部きっての公設市場・紅街市。その魚売り場で、茶目っ気たっぷりの店主のおばさんがそう言った後、「見なさい!」とばかりに指を指すのだ。その先を見ると、何と、そこには生きた魚が泳ぐ水槽がズラリ!「なるほど、これはおかしなことを聞いてしまった」と、赤面することしきり。おまけに氷の上に並べられた魚まで、よく見ればエラがパクパク。中には活きが良すぎて、ケースから飛び出すものもいるくらいだから、新鮮なのは一目瞭然だ。「サンシンマ?」(新鮮ですか?)なんて聞く方がどうかしている。

気を取り直しておすすめの魚を聞いてみると、「今セッパン(ハタ)がおいしいよ」とのこと。大小の斑点が特徴的で、引き締まった白身が旨い高級魚。マカオでは1年を通してよく食べられるのだとか。蒸した後に生姜をのせて、上から熱々の油をジャ~ッとかけて食べるのが一般的で、その作り方を想像するだけでよだれが出てきそうだ。また、鯇魚という名の川魚を薄切りにしたものをしゃぶしゃぶ風にして食べるのも「ホゥホゥセッ!」(おいしい!)とか。

その他、日本でもおなじみのタコやイカ、エビ、アジなどもあり、種類の豊富さにおいても目を見張るものがある。こんなに新鮮な魚がいっぱいあるのなら「マカオに暮らしてもいいな」と、思わず、そんなことまで頭をよぎったものである。ともあれ、今回は、マカオっ子たちの普段の暮らしぶりを垣間見ながら、彼らに混じって暮らすように旅してみることにしよう。

とびっきりの笑顔で応対

それにしても、魚売り場の店頭に並んでいるのは、ほとんどが一匹丸のまま。スーパーで見かけるような切り身など、まずお目にかかることはない。「しかし、持ち帰ってからの下ごしらえが大変だろうなあ」と思っていると、店の奥から「トンントン?」(切りますか)と聞く声が…。ここでは無料で鱗も内臓も取ってくれるというのだ。ちなみに魚の値段は、スーパーなどで買うより3~4割ほど安い。また、マカオでは値引き交渉をするという習慣はないが、「ペンティラー!」(安くしてよ!)と言うお客さんに対しては、「ハオラー」(いいよ)と、気軽におまけしてくれる、そんなところも人気の秘密かもしれない。

旅人も片言の広東語を覚えて、店主とのやりとりにチャレンジしてみたいものである。笑顔で話しかければ、とびっきりの笑顔で応えてくれることも多いから、買い物をしているだけで幸せな心持ちにさせられてしまうのだ。

ちなみにこの紅街市は、1939年に開設された生鮮食料品市場で、外観が赤レンガ風の造りであるところからこう名付けられている。英語名もそのものずばり、レッドマーケット。地下(日本の1階にあたる)の回廊部分には野菜や干物、鶏肉などが並び、1mほど段を上がったメインフロアーというべき中央部分が魚売り場である。その上階に豚肉牛肉売り場が広がっている。

また、建物の外にも、フルーツや花、衣類の屋台などが並んでいるから便利なことこの上ない。ユニークなのは、1階奥にある鶏肉屋さん。店先にはすでに羽をむしられた半身か1羽丸ごとの鶏肉が並んでいるが、奥の棚へと目をやれば、生きた鶏がぎっしり。客の要望にあわせて、そのつど生きた鶏を棚から引っ張り出して、その場で絞めて手際良くさばいていくのだから、これまた新鮮!なことは言うまでもない。

肉の種類も豊富。さまざまな部位の肉が並んでいる

肉の種類も豊富。さまざまな部位の肉が並んでいる