夏のイベントで家族みんなが笑顔に


Summer Events Bring Smiles to Families

アニム・アルテ南灣からは、マカオタワーの隣に上がる花火が見られる。マカオっ子にも人気の鑑賞スポットなので、場所取りはお早めに。

アニム・アルテ南灣からは、マカオタワーの隣に上がる花火が見られる。マカオっ子にも人気の鑑賞スポットなので、場所取りはお早めに。

やんちゃな子供が主役の「ナーチャ祭」

マカオ半島の旧歓楽街・福隆新街を行くナーチャ祭のパレード。赤い格子窓の長屋が並ぶ古い町並みと相まって、古きよきマカオの風情が感じられる。

マカオ半島の旧歓楽街・福隆新街を行くナーチャ祭のパレード。赤い格子窓の長屋が並ぶ古い町並みと相まって、古きよきマカオの風情が感じられる。

マカオらしい夏の伝統行事のひとつが、7月1日の「ナーチャ祭」だ。ナーチャは、西遊記にも登場する神話上のやんちゃな童神。マカオを含む中華圏では、疫病を鎮め子供を守る神、現世利益の神として古くから親しまれ、ナーチャ信仰は、2014年に中国の無形文化遺産に登録されている。

ナーチャの生誕(旧暦の5月18日)を祝うこの祭りでは、山車にナーチャの扮装をした子どもを乗せ、市内をパレードするのがならわしだ。聖ポール天主堂跡の隣に建つナーチャ廟(1888年建立)周辺では、ライオンダンスや広東オペラが奉納され、たくさんの見物客で賑わう。

「道教の廟と、キリスト教の天主堂跡が隣り合うこの場所は、遠い昔のマカオで、東洋と西洋の文化が出会ったことを体感できるスポット。ポルトガル統治時代の市壁も残っていて、歴史好きにはたまりません」と話すのは、夫婦で世界遺産をめぐるのが趣味だという日本人男性。

ナーチャ廟の中には、『ナーチャ展示館』があり、ナーチャ祭で実際に使われている山車、傘、獅子頭や、過去10数年の記念行事の写真、動画、イラストなどを展示。ナーチャ神にまつわる歴史や習慣、祭りについて楽しく学ぶことができる。

ナーチャ廟のすぐ隣に聖ポール天主堂跡が建つ。

ナーチャ廟のすぐ隣に聖ポール天主堂跡が建つ。

ドラゴンダンスが楽しい商売の神様のお祭り

もうひとつ、覚えておきたいのが「関帝祭」。

旧暦の6月24日(今年は8月5日)に行われる、道教の神「関帝」の生誕祭だ。関帝とは、三国志で有名な関羽を神格化した神で、武神としてだけではなく、商売の神としても広く庶民に信仰されている。

地元で飲食店を営むおじさんが、「マカオの商店には、必ずと言っていいほど関帝の像や絵姿がある。生誕祭には、花やろうそく、供え物をして、商売繁盛を祈るんだ」と、教えてくれた。世界遺産の三街会館をはじめ、マカオ中にいくつもある関帝廟にも、たくさんの供え物がされ、主な廟ではライオンダンスや、ドラゴンダンスが賑々しく奉納される。

いつも賑やかなマカオが、さらに沸き立つ祭りの日。躍動感に身を委ね、満喫したい。

マカオの晩夏を彩る豪華な花火

「マカオ国際花火コンテスト」(9月1日、8日、15日、24日、10月1日)は、ドイツのハノーファー、カナダのモントリオールと並ぶ世界三大花火コンテストのひとつ。毎年9月の週末を中心に、マカオ半島南端のマカオタワー前で開催され、今年で29回目となる。一般的な花火大会と違うのは、国や地域を代表する花火業者が、世界最高レベルの腕を競い合うコンペティション形式を採っている点。初開催の1989年からこれまでに、100以上のチームが参加してきたという。今年の参加国はまだ発表されていないが、近年では、中国、マカオのほか、ポルトガル、日本、韓国、英国、イタリア、フランス、オーストリア、オーストラリア、フィンランドなどが参加しており、国際色豊かなコンテストになることは間違いない。

地元ガイドの女性は、「マカオに住む人たちはもちろん、世界中の花火ファンから注目されているコンテスト。開催日に合わせて旅程を組む人も多く、会場付近のホテル、例えばマンダリン・オリエンタル・マカオ、ウィン・マカオ、MGMマカオなどの花火の見える部屋は、毎年争奪戦になります」と、その人気ぶりを語る。

コンテストでは、ひと晩に2チームずつが対戦。音楽やレーザー光線の演出と合わせて、技と工夫を凝らした花火が次々と打ち上がる。一発一発の美しさに力を注ぐ日本の花火とは少し趣が違い、全体的な構成で見せる花”火ショー“が新鮮だ。

花火は、マカオタワーの見える場所なら概ねどこでも見ることができるが、地元のホテルマン氏によると、「マカオの人たちにはそれぞれ、お気に入りの場所があります。例えば、西灣湖沿いのレストラン街や、南灣湖沿いのアニム・アルテ南灣からは、マカオタワーの夜景とその横に打ち上がる花火が見られます。西灣湖を見下ろす高台にある、ペンニャ教会近くの公園からの眺めも素晴らしい。対岸のタイパ地区からは、マカオ半島の夜景と花火の対比が見事です」とのこと。

マカオ半島とタイパをつなぐ橋の手前に上がる花火。マカオならではの美しい夜景だ。

マカオ半島とタイパをつなぐ橋の手前に上がる花火。マカオならではの美しい夜景だ。

マカオの歴史と花火大会

対戦する2チームの打ち上げの間には、インターバルがけっこうあるので、軽く食事ができる場所で見るか、好みの食べ物や飲み物を用意していくといい。マカオタワー内のカフェやレストランも、花火鑑賞におすすめだ。スケジュールが許すようなら事前に下見して、ついでに予約も入れておこう。

「ひと味違った見かたがしたいなら、マカオタワーの展望デッキはいかがでしょう。花火の時間に合わせてデッキ(地上223m)に出て、スリル満点のスカイウォークを楽しみながら花火を見るんです。怖いもの知らずの方は、ぜひ挑戦してみてください」(同)。

ところで、マカオで世界クラスの花火コンテストが開催されるのには理由がある。20世紀中ごろまでのマカオでは、花火や爆竹製造業が盛んだった。

16世紀、ポルトガル人が日本にもたらした火薬と火縄銃も、マカオを経由してきたものだし、1920年代には、中国からアメリカへ輸出された火薬のほとんどが、マカオの火薬業者のものだったという。

当時は、マカオ半島の西側や、タイパに火薬工場があり、香港を経由して世界各地に輸出されていたのだ。

「コンテストは、かつてマカオの主要産業だった花火、爆竹製造の保護と伝承のために始まった由緒あるイベント。今もタイパ地区には1926年創業の爆竹工場「益隆炮竹廠」の跡地が残されていて、その巨大な敷地や建物から当時の隆盛が伺えます」と、前出のガイド女性。

同じ通りにある「タイパ・コロアン歴史博物館」では、爆竹づくりの様子を再現したジオラマも見られるので、花火の前後にぜひ訪れてみよう。