紅街市を出たら、大通りの高士德大馬路を東南へと向かおう。わずか3~4分で、マカオ最大の屋台街に出る。通りの右手角、野菜売りの屋台がせり出しているところから始まるのが群隊街だ。南北あわせて全長150mほどの小路に、野菜を並べた屋台がずらり。そこには、白菜や大根、トマト、ピーマン、生姜、春菊など日本でもおなじみの野菜が並んでいる。ナスやキュウリの巨大さとともに、豆腐や湯葉などの日本の食材が当たり前のように並んでいるのには驚かされる。日本食は、今や庶民の食卓にまで並ぶほどの人気なのだ。
突き当たりまで来たところで、ほんのり甘い香りが漂ってきた。匂いに誘われて歩いていくと、店先に蒸籠が並んで、湯気がモクモクと上がっている。蒸籠の蓋を開ければ、馬拉糕(マーライコウ)という名の蒸しパンが顔を覗かせた。1つ7パタカ(約100円)のお手頃価格に釣られて、ついつい購入。熱々を頬張れば、どこか懐かしいほのかな甘みが広がった。
言葉巧みな実演販売員
その群隊街の東側に並行しているのが、この界隈で一番賑わう食品街・義字街である。ここは、肉類や干物、果物、お菓子などを並べる店がひしめく一大食品街だ。人いきれであふれる通りに紛れ込んだところで、いきなり黒山の人だかりを発見。何事かと覗いてみれば、鍋や包丁などの生活雑貨を売る実演販売員が、マイクをつけて盛んに宣伝しているのだ。「今日だけ特別ね。半額だよ!」と、言葉巧みに客の気を惹き付けている。と見る間に、どこにでもあるようなフライパンが飛ぶように売れていく。軽妙なセールストークに脱帽。
しばらく歩いていると、ここでもまた香ばしい香りが漂ってきた。今度は、鶏や鳩、子豚、アヒルなどを甘辛く味付けして熱々の油を何度もかけてこんがりと仕上げた肉が並んでいる。さらには、猪脚姜(キュキョキョン)という名の煮込み料理を売る屋台があった。これは豚足を生姜入りの黒酢で煮込んだもので、滋養強壮に良いというだけでなく身体を温める作用があるところから産後の女性におすすめの料理なのだとか。栄養価が高いのはもちろんのこと、甘じょっぱくておいしい。
市場巡りは、このような思いもかけない絶品ローカルグルメと出会えるのだからたまらない。